ステンレス製焙煎機の製作

量産型焙煎1号機の売却後にこちらのHPへ直接、お問い合わせがありまして、焙煎機の製作の依頼が入りました。その焙煎機の仕様について、オーダー様より、本体フレームをステンレス製にして欲しいとの要望がございました。

今までの焙煎機のフレームはアルミ製です。
この理由としましては、単に加工がしやすい事が理由でした。切断や曲げ加工が容易で、綺麗に仕上げる事が出来、特殊な工具も必要なく施工が可能です。
ただ、
アルミ製なので炉端焼き機の直火を受けてしまうと溶けてしまう(融解温度約660度)ので、注意事項として直火が当たらないようにセットする事を取説で明記していました。


                          投稿日 2024・3・10
ステンレス製への考察

加工の難易度が上昇するため、可能な限り「切断・曲げの加工」を製作過程から取り除く必要があり、既製品のステンレス板のサイズ感を調査しました。
近隣のホームセンターを2件ほど、会社帰りに調査しました。以下の写真はその一例(ステンレス板やL形アングル)です。

うーん。
特にステンレス板のサイズが250mmを基本形としていて、アルミ製の設計図を流用できない・・・。

またこんな掲示も・・・。

会社帰りの2日間でホームセンター2店舗を調査しましたが、更なる検討が必要になりました。

休日となる、土曜日はネット検索で情報取集です。
Amazonなどのサイトを通じて、ステンレス板の加工をオーダーするなどの検討も行いました。
加工や発送に時間が掛かり、SUS430のステンレスが多く掲載されているなど、当方で考えている仕様や時間軸には合わない感触です。
(ステンレスは耐腐食性や耐熱性から、SUS304を採用したい・・・材料費はSUS430の方が割安ですが、ステンレスというと304かなと、勝手に思っています)



製作にあたっての方向性を決める!

検討の結果、ホームセンターの既製品を活用して焙煎機の本体フレームに生かす作戦にしました。以下、判断結果です。
 ・ホームセンターで材料を購入すれば、すぐに製作に着手可能
 ・Amazonなどネットで購入しても切断加工などが必ず必要となってしまう
 ・ホームセンターのステンレス板はSUS304
 ・既製品サイズの板を上手く活かして本体サイズを決定
  (横250㎜×幅180㎜×高さ250㎜を本体サイズとする)

ステンレス材の購入と加工開始

設計図はアルミ製焙煎機を流用する形で、本体サイズを新規に設計します。
現物合わせ的な箇所は実際に製作しながら、採寸していく方針としました。

ホームセンターにて必要量のステンレス材を購入し、切断や穴あけ加工の印を出しました。



切断はディスクグラインダーで行います。0.8mmの切断砥石を装着して作業しました。この作業は本日中に実施しておかないと、会社帰宅後は夜間となってしまうため、施工は不可です。

スリット部や回転カゴの軸の加工風景です。
可能な限り、切断を優先させて施工しました。
グラインダー切断後の微修正は、平日の帰宅後に組ヤスリで調整します。全ての穴をあけ切れていないので、穴あけ加工も行いながら、仮組していきたいと考えております。

本体の仮組とスリット部の研磨
                           投稿日 2024/3/14

平日の空き時間を最大限活用して、作業を進めました。
まずは、スリット部加工のあと処理です。スリット加工の際にグラインダー切断で発生した熱量によって、傷防止シート(青のビニールシート)が溶着してしまったようです。
・・・そうですよね、切断周辺は高温になりますので、冷静に考えればわかることです。

スリット部の切断加工時に発生する熱で、傷防止シートがステンレス板へ張り付く事象が発生。
(写真、スリットの左側のビニールを 剥がしたあと。剥がすのが大変でした)

切断部の整正やビニールの除去を行い、耐水320#⇒耐水1000#⇒コンパウンド3000#⇒コンパウンド9800#と磨いていきました。
細かい傷を目立たなく処理し、一旦この作業は中断し次の作業に移ることにしました。(完成まじかに全てのビニールを剝がしてから、磨きをいれる事にしました)



本体フレームの仮組立

平日の一連の作業を進めた結果、仮組まで工程を進めることが出来ました。
本体フレームが結構重いです。アルミ製と比べると重厚感があります。

ワッシャーなど入れずに仮組です。
この後の作業ですが、ねじ止め穴の位置修正が1~2か所ありましたので、丸ヤスリを使って修正を行います。また、ビニールも挟み込んで仮組しているので、ネジ1か所ずつビニールを剥がし、ネジもワッシャーなどを組み込み本仕様化をしていきます。

グラインダーが必要な作業を抽出して、次回の昼間作業を効率よく出来るように備えていくのも平行して進めたいです。



モーターギヤASSYの分解

投稿 2024/3/21

作業は仕事帰り後も行いますが、大それた製作はできません。
平日は少しずつ進捗させます。今回はモーターASSYの分解と給脂です。
採用しているモーターギヤですが、分解するとグリス量が少ないように感じていますので、組付け前にグリスUPと歯車等の点検を行っています。

分解したモーターギヤですが、やはりグリスが少ないです。
Amazonの購入ページの投稿では歯車の破損事例がアップされているので、興味があります。当方の環境で破損事例はないのですが、原因は少しでも排除しておきたい一心で分解点検している状況です。

まんべんなくグリスUPした写真です。歯車等のチェックを行い欠損はありません。
1分間に18回転のギヤです。焙煎機はこちらのスペックを採用、得られるトルクから、1.5kg程度重量を回転させることが可能です。(長くお使いいただく上で、生豆投入重量は半分の約700gを奨励しています。当方環境で最大値は1kgで問題なく回転することを確認しています)


フレームの作り込み

休日は日中作業が可能なので、グラインダー作業を主に行いました。
今回はモーターASSYなどの取り付け部の加工です。この部位は現物合わせで採寸して組み立てました。

仮組の際は鉄製のネジを使っていますが、精度に問題が無ければネジをステンレスへ差し替えます。面倒なビニール剥がしも行い、ステンレス板の鏡面が出てきました。
また、カゴと中心軸を組付け、軸の寸法調整を行いました。

かなり形になってきました。こののち天板を蝶番に組付けております。
進捗率は8割程度でしょうか?
次の休日、1日あれば何とか完成に行けそうな所まで進んだ感触です。
次回は
・モーターギヤASSYへの電力結線作業とスイッチの取り付け
・温度計取り付け
・フレームの微調整とセラミック網の取り付け
・動作チェック

を予定しています。

フレーム最終仕上げ
                          投稿 2024/3/26

ステン焙煎機の製作も大詰めです。
回転軸とモーターギヤASSYの取り付け調整です。ユニバーサルジョイントで接続しますが、大幅なズレはNGとなります。
蝶ねじはフレームに当たらない位置とします。



天板への温度計取り付け

前モデルは温度検知の棒が長いタイプでしたので、これだと棒がカゴの取り出し時に干渉してしまうのが欠点でした。今回は温度計のチョイスにおいて、検知する棒の長さにも着目しました。
そして、回転カゴに当たらない短い温度計を選定、天板に取り付けました。
カゴの直上に配置して、天板を開けると同時に庫内から外されるようにしました。(天板にとりつけたことだけですが・・・)


また、軸のモーターギヤASSYのの反対側に木製の柄を取り付けました。火傷防止と取り扱いしやすくが目的ですが、焙煎直後は手袋をした方がいいです。


セラミック網の取り付け

庫内の温度を一定に保ち遠赤効果を得るため、セラミック網を装着します。これが入手が難しい一品でして・・・以前、ドン・キホーテで偶然見つけたので購入したものです。

正方形です。両端を折って本体フレームに取り付けます。
これで結構フレームの強度が増すという効果もあります。



炉端焼き機にセット

当方の炉端焼き機に初めてセットしました。ぴったりです。
ちょっと緊張しました。
セラミック網を止めているビスは、フレーム外側では足の役目を果たします。
従来機ではネジ部が露出していたのですが、今回からロングナットにしています。

炉端焼き機のカセットガス側に合わせるようにセットします。(水色の線です。炉端焼き機の突起部にくっつけるように)

庫内の様子です。
セラミック網の下側に炉端焼き機のガスのU字型の噴出口があり、セラミック網を熱する位置に配置されています。


モーターASSYの電源工事

最終段階に入りました!
電源の設置です。
 ・DC12Vアダプターの新規コネクタ装着
 ・ON-OFFスィッチ装着
 ・結線作業
これらを行います。

DC12Vがちゃんと出力されているか確認しました。

新規コネクタ(メス側)やスィッチをモーターASSY付近にセットして結線しました。


完成ギャラリー

試運転の様子です。生豆700gを投入して、1時間の試運転を実施しました。
以下の写真は試運転の写真と完成ギャラリーが続きます。

この後、
出荷に備えて、各部の点検やビスの増し締め、傷防止ビニールの完全除去などを行ます。

完成後記


ステンレス焙煎機の製作ですが、ようやく完成しました。
やはり材料が硬く、加工が難しかったのが印象に残っています。結果、市販のステンレス板材のサイズに極力合わせるといった手法をとりました。アルミ製焙煎機は小ぶりなので、炉端焼き機への装着感を比べるとぴったりでした。
重量はアルミ製と比べると重いので重厚感と、表面が鏡面なので綺麗な仕上がりです(傷がつかないように気を使いますが・・・)。
ステンレス焙煎機の製作にチャレンジしてよかったな~と振り返っています。

今回、ステンレス焙煎機を製作にあたり、従来機との変更点は

 ・フレームの回転カゴ軸が通過するスリット部への放熱防止板は不要との判断
 ・モーターASSYへの電源ラインに着脱可能なコネクタを装着
 ・回転カゴに干渉しない位置へ庫内温度計装着
 ・炉端焼き機セットの足をロングナットへ変更

次の焙煎機製作の際には、上記の変更内容を盛り込みながら使いやすい焙煎機を作っていきたいと考えております。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です